既存不適格建築物とは?リスクと対策を知ろう

既存不適格建築物とは、建築当時は法令に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更などによって、現行の法令に適合しなくなった建築物を指します。

既存不適格建築物は、様々なリスクを抱えており、適切な対策を講じる必要があります。

この記事では、既存不適格建築物の定義、種類、リスク、対策について、徹底的に解説します。

 

 

1. 既存不適格建築物とは

 

1.1. 定義

 

既存不適格建築物とは、建築された当時は適法であったものの、その後の法令改正や都市計画の変更などにより、現行の建築基準法やその他の法令に適合しなくなった建築物 を指します。

 

1.2. 既存不適格建築物となる理由

 

既存不適格建築物となる理由は、主に以下の3つです。

 

・法改正: 建築基準法やその他の法令が改正され、新たな基準が設けられた場合

・都市計画の変更: 都市計画が変更され、建築制限が強化された場合

・用途地域の変更: 用途地域が変更され、建築できる建物の種類が制限された場合

 

1.3. 既存不適格建築物の種類

 

既存不適格建築物には、様々な種類があります。

 

・耐震基準不適合: 耐震基準が改正され、現行の耐震基準を満たさない建築物

・防火基準不適合: 防火基準が改正され、現行の防火基準を満たさない建築物

・用途制限不適合: 用途地域が変更され、建築物の用途が現行の用途地域に適合しない建築物

・高さ制限不適合: 高さ制限が強化され、現行の高さ制限を超える建築物

・建ぺい率・容積率不適合: 建ぺい率や容積率の制限が強化され、現行の基準を超える建築物

 

 

2. 既存不適格建築物のリスク

 

既存不適格建築物は、様々なリスクを抱えています。

 

2.1. 安全性のリスク

 

既存不適格建築物は、現行の法令に適合していないため、安全性に問題がある場合があります。

特に、耐震基準や防火基準に適合しない建築物は、地震や火災などの災害時に倒壊や延焼の危険性があります。

 

2.2. 法的リスク

 

既存不適格建築物は、増築や改築が制限される場合があります。

また、場合によっては、改修や建て替えを求められることもあります。

 

2.3. 経済的リスク

 

既存不適格建築物は、資産価値が低下する傾向があります。

また、改修や建て替えが必要になった場合、多額の費用がかかることがあります。

 

2.4. その他リスク

 

既存不適格建築物は、住宅ローンが利用しにくい場合があります。

また、売却が困難な場合もあります。

 

 

3. 既存不適格建築物の対策

 

既存不適格建築物を所有している場合、または購入を検討している場合は、以下の対策を検討する必要があります。

 

3.1. 現状把握

 

まずは、建築物が既存不適格建築物であるかどうか、どのような点が不適合であるかを把握する必要があります。

専門家(建築士など)に依頼して、建物診断を行うことをおすすめします。

 

3.2. 改修・建て替え

 

不適合の内容によっては、改修や建て替えを行うことで、現行の法令に適合させることができます。

改修・建て替えを行う場合は、専門家と相談し、最適な計画を立てる必要があります。

 

3.3. 用途変更

 

用途地域が変更されたことによって既存不適格建築物となった場合は、用途変更を検討することもできます。

ただし、用途変更には、建築基準法やその他の法令上の制限があります。

 

3.4. 特例許可

 

既存不適格建築物であっても、特定の場合には、特例許可を得ることで、現状のまま使用できる場合があります。

特例許可を得るためには、一定の条件を満たす必要があります。

 

3.5. 専門家への相談

既存不適格建築物に関する疑問や不安がある場合は、専門家(建築士、不動産鑑定士、弁護士など)に相談することをおすすめします。

 

 

4. 既存不適格建築物の売買

 

既存不適格建築物を売買する場合、買主は、その建築物が既存不適格建築物であることを十分に理解しておく必要があります。

売主は、買主に対して、既存不適格建築物であること、不適合の内容、改修・建て替えの可能性などを説明する義務があります。